ITと哲学と

IT系エンジニアによる技術と哲学のお話。

Developers Summit 2023のday2にちょっとだけ参加した

有休とって、Developers Summit2023のDay2に一部だけ参加した。

SIで「新規事業」を作るということ、SEが「価値」を作るということ

SIでたくさんの実績を持つTISさんの中で新規事業を立ち上げるための取り組みについてのお話で、今僕が所属している会社もかなり似たような背景を持つ大きめの企業であり、共感がすごかった。特にいま新規事業創出関連にトライしている状態なので、色々と気づきや考えるきっかけがあった。

PJと失敗

基本的に新規事業の成功率は数%と言われている世界なので、失敗から学んでいく進め方が必要なのが新規事業の進め方であるというのは自分も認識していて、これに適合するために失敗の化学だったり、失敗の本質だったり、「失敗」をテーマにしている書籍をよく読んでいる。

が、有効に使えているかというとだいぶ怪しいという課題意識をずっと感じていた。

率直に、今の仕事においてPJが仮に失敗していたとして、ダラダラと切り捨てられずに進んでいく方が、切り捨てられてPJが終わるよりは自分のポジション(転職検討時にたまたま見つけた関連会社横断の社内公募でPJに参加)的には都合が良かったりもするので、難しい。 PJが採算に乗って大成功して欲しいのがもちろん一番なんだけど、PJに見切りをつけてクローズされて他のことに会社としてのリソースを割かれるよりは、今のPJが存続して可能性を探し続けられる状況の方が個人的に好ましい。今のチームが好きだし、社会的な意義がでかいと思っているし、何よりこれをやるために今のチームに異動したので、このPJを何としても成立させたい。

そういう意味では個人的に願う成功と会社が必要とするビジネス的な成功が、1つのPJというミクロな視点では一致しているんだけど、よりマクロな視点では一致していないという課題があるのかもしれない。もしくは会社が必要とする成功に対する自分の理解がまだ甘いのかもしれない。ここら辺はマネジメントと話してみないといけないと思った。

TISさんのお話では、ステージ・ゲートプロセスという仕組みがあり、多産多死を前提とするため割とドライに割り切るといったことをやっているようなお話だった。自分が新規事業群を切り盛りする立場になったらこういう仕組みは絶対入れたいと思う。これで失われるものもあるとは思うけど、そこに参加するエンジニアだったりスタッフのモチベ的にも、うまくいかないPJは早めに切り上げて、次の挑戦にうつれる方がいいんだろうなと思う。

そういう意味では、PJ自体と個人の雇用が密に関連してしまうような状況って実はあまり良くないのかもしれない。 PJを単位に入っていくようなコンサルの人たちってここら辺どう折り合いつけてるんだろうか。友達に正にそんな働き方している人もいるし、話を聞いてみたいなと思った。

話をセッションに戻す。

現実のお話

現場での現実のお話がかなり生々しくて、よかった。共感できるところも多く、自分達とのDiffをとって学ぶことができた。

コミュニケーション

チームの分断についての反省点があげられていた。チャットやZOOMなどのツールを使って解消しているということで、自分達も同様にSlack+ZOOM+oViceでコミュニケーションを密にするようにいているので共感ができた。特にoViceは導入当初こそ安定性が低く活用意欲が低かったが、最近はたまに不具合があるものの安定して使えており、だいぶ便利だと感じている。 また、関西東京でそれぞれ拠点は違うが、週2日は出社することが前提のチームなので、拠点内では会話ができることも分断抑止の効果はあるのかもしれない。奥さんが妊婦さんということもあり、出社には忌避感がいまだに強いが、ちょっとは出社に前向きになれた。

スピード感と優先度

スピード感を重視するあまり、手をつけやすいところからバックログに手をつけてしまい、顧客の価値を解決するソリューションにならなかったというお話もあった。 客観的に話を聞くだけならば、「そうはならんやろ。。」と思えるんだけど、実際これは嵌まりやすい罠だと思っていて、自分も気をつけないといけないポイントだと思う。今の自分が取り組んでいるPJは、研究成果を実社会にリリースするための準備段階であり、実用視点で発生する技術的な課題を潰すプロトタイプを作っている段階だが、それでも根本的な難しさがあるテーマよりも倒しやすくて成果が出やすい内容に作業内容が寄っていく傾向があった。この課題は自分でも気が付くことができて、現時点では是正しているけど、状況が変わるとまた再発しかねないので気をつけなくてはいけない。

大手SIで新規事業をやるということ

大手SI会社において、社内で新規事業に対してメンバーが懐疑的になるという状況は、自分も正に感じている。そして、新規事業に取り組んでみた経験として、社内の豊富な専門家によるサポートが受けられることが自社の強みであるという考えに至ったという話も、正に自分が感じていた話だった。 所属する会社は違えど、同じような課題意識・学びを得て希望を見つけている人がいることがわかったことで、自分も頑張ろうと勇気をもらうことができた。

ラストのパートのメッセージである「何を作るか?をエンジニアは人任せにするべきではない」という部分もすごく共感を覚えた。 数週間前のチームの振り返りの中で、チームのメンバーが「会社の経営の数字に興味が持てない」というProblemを上げてくれたことがあった。 これに対して自分は「エンジニアの仕事は何にせよ、広義の経営課題を解消するために技術を提供することであって、解決すべき経営課題を把握・発見するために経営の数字や社内外の動向に目を向けるのは有意義なことだと思う」という考えを伝えた。これが完全な正解であるかは自信がないが、少なくとも同じようなことを考えている人がいることがわかったので安心感を覚えた。

資料はFintanという知見共有サイトに上がるらしい。自分の所属している会社はここら辺の情報発信や共有がまだこなれてない感があるので、ここら辺はキャッチアップしていきたいなと思った。 https://fintan.jp/

長くなったので一旦ここまで。